遺産整理の相談先について
1 遺産整理の内容について
遺産整理とは、亡くなった方(被相続人)の財産や負債など、一切の権利義務を整理したうえで、相続人へ適切に引き継ぐための一連のプロセスを総称したものです。
単に財産を分配するだけではなく、相続財産を漏れなく把握し、相続人が現実に利用できる状態に整えるという役割があります。
具体的には、相続人の調査、相続財産の調査、遺産分割協議書作成のサポート、預貯金の解約・払い戻し、不動産や有価証券の名義変更、相続税申告、借入金の整理など、多岐にわたる作業が含まれます。
遺産整理に含まれる作業等の一部には、法律上、特定の資格を持つ専門家だけが扱えるものもあります。
以下、遺産整理に関して相談できる主な専門家の種類について説明します。
2 遺産整理を相談できる専門家の種類
⑴ 司法書士
司法書士は、相続税申告、争いのある遺産分割、裁判所での手続きを除く遺産整理業務を幅広く扱うことができます。
特に不動産の相続登記に関しては専門性が高く、登記申請の代理ができるのは司法書士と弁護士のみです。
遺産整理の場面においては、相続人の調査(戸籍謄本等の収集)、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、預貯金の解約・払い戻し、不動産の相続登記、有価証券の名義変更などの相談や依頼をすることができます。
相続財産に土地や建物が含まれる場合には、登記手続きを司法書士に相談することで、効率よく進めることが可能になります。
相続登記は、2024年4月から義務化され、基本的には相続による不動産の取得を知った日から3年以内に行わなければ過料の対象となり得るため、早めの対応が大切です。
⑵ 弁護士
弁護士は、相続税申告を除く遺産整理業務を全般的に扱えます。
特に、遺産分割で相続人同士の意見が対立している場合、交渉や家庭裁判所での調停・審判手続きの代理は、弁護士にしか依頼することができません。
もちろん相続人間での争いがなくても、相続人の調査、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、預貯金や有価証券の相続手続き、不動産の相続登記などの相談、依頼をすることができます。
相続人間の関係が複雑な場合や、争いが発生しそうな場合には、予め弁護士へ相談しましょう。
⑶ 税理士
税理士は、相続登記、争いのある遺産分割、裁判所での手続きを除く遺産整理業務を扱うことができます。
特に、相続税申告の代理は税理士にしか認められていないため、相続税が発生する可能性がある場合には、税理士への相談、依頼が必要になります。
相続財産の評価額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人)を超えると、基本的には相続税の申告が必要となります。
申告の期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月です。
相続税の算定の際に必要な財産評価は複雑であり、特に土地や非上場株式などの評価は高度な専門知識を要します。
また、適切な特例を利用することで相続税を大幅に減額できる場合があるものの、正確に活用できないと過大な相続税を納めてしまう可能性や、逆に過少申告となってしまう可能性があります。
相続財産が一定以上ある場合には、早めに税理士へ相談することが望ましいといえます。
⑷ 行政書士
行政書士は、争いのある遺産分割、裁判所での手続き、相続税申告、相続登記を除く遺産整理業務を取り扱うことができます。
不動産が含まれない、相続人間に争いがないなど、比較的シンプルな事案の場合は行政書士への相談が有効であるといえます。
3 遺産整理の進め方の基本的な流れ
遺産整理は、一般的には次のような流れで進められます。
①相続人と相続財産を調査、整理する
②相続人間の争いの有無や事案の複雑さを確認し計画を立てる
③相続手続きに必要となる専門家を選ぶ
④専門家に相談し、依頼範囲や費用を確認する
⑤相続手続きを依頼する
何から始めればよいかわからない状態でも、もちろん専門家への相談は可能です。
むしろ早い段階で相談することで、必要な手続きや準備すべき資料について整理し、適切なアドバイスを受けることができます。
4 専門家に相談するメリットについて
遺産整理を専門家に相談・依頼することで得られるメリットは、次のとおりです。
①相続手続きの漏れや誤りを防げる
②期限の管理を適切に行える
③財産評価や税計算の正確性を確保しトラブルを予防できる
④書類作成や資料収集の負担を軽減できる
特に相続人が多い場合や、相続財産が多岐にわたる場合には、専門家のサポートにより安心して手続きを進めることができます。






























